山陰美人
「山陰美人」は元(有)養父郡酒造というお酒をつくる会社の代表銘柄です。
(有)養父郡酒造は元禄13年西暦1700年の創業と言いますから300年を超える歴史がありますが残念ながら現在は操業を止めています。
うだつの上がった本宅や土蔵そして酒づくりのための建物が並んでいます。
この建物群のそばを流れる八木川の対岸にある養父市役所側から見る景色が、養父市のビューティースポットと言われています。
清流八木川の流れに沿って赤い煉瓦でつくられた丸い煙突のある酒蔵。煙突には「山陰美人」の文字が浮かんでいます。背景には養父市の最高峰である妙見山(1,139m)が重なって見えます。
4月の初めには、近くの民家の満開の桜と妙見山の残雪が重なり、見事なビューティースポットを演出します。
かって有名なピアニストがようか文化ホールでの演奏のため宿泊していた近くの旅館から出たとき、この景色が目に入り「八鹿にはとても素晴らしい風景があるんですね」と言われたことから見直された景色です。
そういえば、ずーと昔から小学校の写生の時間には、必ず何人かがこの風景を描いていました。知らず知らずに素晴らしい風景であることを感じていたんでしょうね。
表に回ると土蔵があります。この土蔵の白い壁に大きな目玉が目に入ります。そして窓があります。よく見るとあの「トトロ」にそっくりです。
「ととろの壁」と言われています。
そばを通ると「なるほど」とうなずき思わず微笑んでしまいます。
これは今から20年以上も昔のこと、昭和の終わりから平成の初めのころの話です。自分たちで「まちなみたんてい団」と呼ぶ人たちがいて、八鹿の街並みを歩いていました。
そこに飛び込んできたのが、目と鼻かあって、あいきょうのある蔵の壁だったのです。
だれかの顔に似ている。
「あっ、トトロだ、トトロの壁」
そして、この大発見が生まれました。
知る人ぞ知る、知らない人は知らない。
それでも一部の人からは熱狂的に支持されている八鹿の名物、それがこのトトロの壁なのです。